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― しっかり解説 ―

酪農家とは
酪農家とは、主に乳牛を飼育して生乳の生産と乳製品の加工をしている人です。
生乳を加工してチーズなどの乳製品の生産まで手がける人もいれば、観光用の牧場を経営している人などもいます。
現代の酪農家には、様々な働き方や仕事があります。
畜産、酪農の違い
動物を飼育して、そこから肉や卵、乳製品、毛皮などを生産することを「畜産」と言います。「畜産」の中でも、乳牛を飼って、牛乳を生産したり加工したりすることを、「酪農」といいます。また、放牧によって「畜産」するものを、「牧畜」と言いますが、この場合、飼育するのは牛だけに限りません。
酪農家の仕事
酪農家には、一年を通じて行う仕事と、季節に合わせて行う仕事があります。
一年を通じて行う仕事
乳牛の世話や搾乳などに加えて、バターやチーズ、ヨーグルトなどの乳製品を加工したりするなど、酪農家は忙しい日々を過ごしています。
搾乳(さくにゅう)
生乳を採取する作業を「搾乳」と言い、酪農家にとっては収入に直結する最も大事な仕事のひとつです。搾乳にはミルカー(※1)と呼ばれる機械を使います。
搾乳は、朝と夕方など1日に2回以上行うのが一般的です。また、搾乳の回数が少ないと、牛の乳頭から細菌が侵入し死に至る病気になってしまうため、1日たりとも休むことはできません。
※1.ミルカーとは、乳頭にカップをセットすると真空による負圧の力を利用して自動的に搾乳を始める機械です。ミルカーを通じて採取された生乳は、牧場内の処理室やタンクに運ばれます。
乳牛の世話
牛の寝床となる「寝藁」を敷いたり、汚れた寝藁を片付けたりする作業は毎日行います。
また、餌となる飼料は、朝と夜の2回に分けて与えることが一般的です。
酪農家は牛の生態に合わせて、朝早くから夜遅くまで働かねばなりません。
特定の季節に行う仕事
繁殖や飼料づくりなど、酪農家には季節ごとに行う仕事もあります。
繁殖と育成
人工授精よって計画的に出産させるところが多いのが実情のようです。
生まれた子牛がメスの場合は、搾乳が可能な段階まで育成します。
生まれた子牛がオスだった場合は、生後数週間で肉用として売却するのが一般的です。
飼料づくり
牛乳の味や成分は、牛に与えられる飼料の良し悪しで決まるため、こだわる酪農家も多い仕事です。
酪農ヘルパー制度
毎日が忙しい酪農家ですが、最近では、そんな酪農家の負担を軽減するために、「酪農ヘルパー制度」が導入されています。
酪農ヘルパーとは、酪農家が休みをとる際に酪農家に代わって、搾乳や飼料給与などの作業を行う仕事に従事する人をいいます。
酪農ヘルパー事業は、国や地方公共団体も支援していますし、酪農ヘルパーを専業とする酪農家も増えています。

酪農家になるには
酪農家になるためには、牧場を開かなければなりません。
しかし、土地、建物(牛舎)、飼育する牛、機械などへの莫大な投資が必要になるため、一般的には、家業として牧場を継ぐ以外にありません。
ですが、近年では、高齢化が進み、跡継ぎがいないなどの理由によって廃業するケースが増えているため、牧場を手放す人と新規に酪農を始めたい人のマッチングが、地域ぐるみで積極的に進められています。
北海道で農業をはじめるサイト|北海道農業担い手育成センター
こうした制度を使って酪農家を目指す場合であっても、まずは酪農に関する専門的な知識や技術を修得することが必要です。
そのため、農業大学や農学部のある大学・短大などで、酪農と畜産に関する知識と技術を学んだのち、酪農ヘルパーや牧場スタッフに応募して、実際に乳牛の世話をしながら酪農家の仕事を身につけるのが一般的です。
酪農ヘルパーとして働きながら資金を貯めて、廃業予定の牧場や売却予定の牧場とのマッチングを図り、牧場を受け継ぐという形で酪農家になることは可能です。
まとまった大金を用意するということではなく、リース契約(※2)などを使いながら、経営を安定させたうえで牧場を買い取ることになります。
※2. リース契約とは、ユーザーにとって必要な機械等について、ユーザーが直接購入するのではなく、リース会社が購入し、ユーザーはリース会社に毎月一定のリース料金を支払うことで機械設備を借りるという仕組みの契約形態です。
牛の秘密
小さい頃から、牛乳やチーズ、アイスクリームなどの乳製品は身近な食べ物として日本人の生活にすっかり馴染んでいますが、牛そのものについては意外と知らないことが多いのかもしれません。そんな牛の秘密のいくつかをピックアップしてみました。
牛には4つの胃袋がある!
牛には胃袋が複数あるとは思っている人も多いとは思いますが、実は4つもあるんだそうです。
牛になっちゃうぞ⁉
ご飯を食べた後、すぐ横になって寝ていると「牛になっちゃうぞ」と言われてしまったりしますよね。確かに牛はいつもダラダラと寝ているイメージがありますが、実は牛は1日にわずか3時間程度しか寝ないのだそうです。
牛は色を識別できない!
スペインの闘牛士が赤い布を操って牛と戦う姿は有名ですが、実は牛は色を識別することができず、ほとんどモノクロにしか見えないのだとか。闘牛士の場合、赤い色と言うよりも、布の動きに興奮しているようですね。
牛のゲップはヤバい⁉
牛のゲップにはメタンガスが含まれていて、とんでもなく臭いらしいです。メタンガスは、CO2に次ぐ温室効果ガスとして知られていますから、ただクサいだけでなく地球温暖化につながる可能性があるという訳です。しかも、牛が1日にするゲップはなんと約500リットルもあるのに加えて、地球上には約10億頭以上の牛がいるというのですから、これは本当にヤバいのかも…
ちなみ、このメタンガスの影響があるので牛の近くで火を使うと爆発することもあるので注意が必要です。
牛のヨダレもヤバい!
牛はいつもダラダラとヨダレを垂らしていますよね。調べたところ、牛が1日に垂らすヨダレの量は、なんと100リットル! 人間は1日に1~2リットルの水分を取るレベルですから、これはヤバいレベルです。
PyiQ
まずは動物が好きな人でしょう。酪農は出産から老衰で死を迎えるときまで一緒に過ごしていきますから愛着もひとしおです。これは他の仕事では味わえないのではないでしょうか。また、自然の中で生活しますので、自然が好きという人には向いていると思います。
PyiQ
牛乳生産は安定した需要がありますので、酪農は安定して収益を上げることができる仕事だと思います。また、チーズやヨーグルト、牧場に併設したレストランなどもありますし、幅広いチャンスがある事業ではないでしょうか。