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― しっかり解説 ―

すし職人とは
すし職人とは和食の中でも日本を代表する料理「すし」だけを専門に調理する料理人です。
国内で活躍するだけではなく、海外で活躍するすし職人も数多くいます。
一般店や高級店で働くすし職人もいれば、回転すし店や宅配店などのチェーン店で働くすし職人もいます。
また、そうした経験を積んでから自分のお店を持つすし職人もいます。
寿司と鮨の違い
「寿司」は、すし料理全般に使うことができる万能な字であるのに対し、「鮨」は魚編に旨いと書くことから「旨い魚を使ったすし」に使われることが多いようです。「寿司」と「鮨」は基本同じ意味を持つためどちらの表記を使っても間違いではありません。
板前とすし職人の違い
板前とは、和食の技術を身につけた料理人の事です。
一方、すし職人とは和食の中でも「すし」という分野に特化した技術を持った料理人の事です(天ぷら職人、和菓子職人なども同様です)。なお、調理師とは調理師免許(国家資格)を持った人たちの事です。
すし職人の仕事
すし職人の仕事は、一般店や高級店と回転すし店や宅配店などのチェーン店とでは仕事内容が大きく違います。
一般店や高級店の場合
魚の仕入れ
一般的なすし店や高級店ではすしを握るだけでなく、魚の仕入れもすし職人の仕事です。
すし職人が扱う食材は、魚介類が中心で、ほかの料理と比べると種類は多くありませんが、食材の仕入れは重要な仕事で、専門知識が必要です。
仕込み(※1)
開店までに仕入れた魚や食材を仕込む必要があります。この仕込みには、高度な知識と技術が必要です。
また、すし以外の一品料理の準備もします。
※1.仕込みとは、 最終的な調理加工の、ひとつ前の段階までを事前に加工処理しておくことです。
接客
店舗が開店したら、すしやその他の料理を作ってお客さまに提供します。
一般店や高級店の場合、お客様とのコミュニケーション力や臨機応変にサービスする対応力が重要になります。
すし職人としての技術だけでなく教養も身につけておく必要もあります。
後片付け
店舗が閉店後、食器洗いや店舗の掃除、翌朝の仕込みのために足りない食材のリストアップなどを行います。
料理人であればどの業態でも同じですが、一人前の職人になるには最低10年かかると言われています。
すし職人の場合も、握りはもちろん、魚の目利き、仕入れ、下処理など、様々な知識と技術を学ぶ必要があります。
また、お客様への細やかな心遣いができる接客力も必要ですし、お客様と話をするためにも教養が必要になります。
そのため、魚を触らせてもらえるまでに3年ほど、お客さまにすしを出せるようになるまでに5年ほどかかるといわれています。
回転すし店や宅配店などチェーン店の場合
回転すし店や宅配店などチェーン店の場合、店舗での調理がメインの仕事になります。
魚の仕入れや仕込みはセントラルキッチン(※2)で行う場合が多く、店舗には握るだけの状態で納品されるためです。
握りやその他料理の調理に専念できる反面、一般店や高級店と比べてスピードが求められるため、いかに早く正確にすしを握るかが重要とされます。なお、店舗によっては調理と接客を兼ねる場合もあります。
※2. セントラルキッチンとは、チェーン展開をしている飲食店や病院等が、店舗内で調理するのではなく、別の場所で集中して大量に調理をする施設のことです。セントラルキッチンである程度までは食材を加工して、その後各店舗にて仕上げ調理を行い、お客様に提供するといった流れが主流となっています。

すし職人になるには
すし職人になるためには特別な資格は必要なく、学歴も不問です。何よりも職人としての技術が求められます。
技術を身につける方法としては、大きく分けて「一般店や高級店に就職する」「すし職人養成学校を卒業する」という2つの方法があります。
一般店や高級店に就職して修行する
一般店や高級店に就職して技術を身につける方法です。
時間はかかるかもしれませんが、実際の店舗でなければ学べないこともたくさんあると思われます。
しかし、実際のところ、一般店や高級店への就職は、求人が出ている場合以外は、調理師専門学校経由、知人からの紹介などでなければ採用されることは少ないようです。また、稀に常連客や既に働いている職人の身内が見習いからという条件で就職できることがあるようです。
まずは、ルート(コネ)を探してみて、無ければ専門学校へ進みましょう。
飲食店では、新人が欲しい場合は専門学校に求人を出すことが多いのでそこにチャンスがあるかもしれません。
すし職人養成の専門学校を卒業する
本来のすしは庶民的な食べ物と広まったので、回転すし店や宅配店はその考え方に沿った業態であると思われます。
こうした企業に就職し、早期に知識と技術を身につけて活躍したい場合には、すし職人を養成する専門学校に進学するのが良いでしょう。実際のすし職人が講師となって指導してくれますから、十分な技術を身につけることができます。
ミシュランガイド
美食ガイドブックとして有名な「ミシュランガイド(赤い表紙をしていることから、「レッドブック」とも呼ばれます)」を発行をしているのは、世界的なタイヤメーカーであるミシュラン社ですが、1900年に自動車運転者向けのガイドブックとしてフランスで発行したのがその始まりです。
当時は無料で配布されており、ガイドブックの発行によってタイヤの売れ行きが上がることが目論みだったといわれています。
その後、1926年には料理を提供するホテルを星で格付けする方式が開始されました。
星の数は最初は1つ星のみから、次に2つ星までとなり、今と同じ3つ星方式は1931年に導入されたそうです(レストラン部門は「3つ星」が最高得点ですが、ホテル部門は「5つ星」が最高得点になっています)。
ミシュランガイドの評価基準は以下のようになっています。
・1つ星…その分野で特に美味しい料理
・2つ星…極めて美味であり遠回りをしてでも訪れる価値がある料理
・3つ星…それを味わうために旅行する価値がある卓越した料理
ミシュランガイド東京2021では、3つ星12件、2つ星42件、1つ星158件が掲載されています。
また、星とは別にコストパフォーマンスのよい良質な店に与えられる評価システムとしてビブグルマンというものがあります。
パリの場合は35ユーロ未満、アメリカでは40ドル未満、東京版では5000円以下でコース料理やアラカルトが楽しめる店が選出されます。
ちなみに、ミシュランの星が多い都市は、東京・大阪・京都、パリ、ニューヨークがトップ5となっています。
こうしてみると日本は美味しい食べ物の宝庫なのでしょうね。
また、ミシュランガイドの調査員は全員がミシュランタイヤの正社員で、世界統一の評価基準で調査・評価できるよう、全員フランスで厳しいトレーニングを受けているそうです。
PyiQ
海外に就職・転職するうえですしを握れることは大きなメリットになるようです。
すしだけではなく、日本料理、天ぷら、ラーメン、焼き鳥、和スイーツなど、海外で人気の料理の経験があれば、海外就職には有利なようです。
PyiQ
すし職人として働く際に必須となる資格はありませんが、自分のスキルの証明として国家資格である「調理師免許」や「食品衛生責任者」などを取得している人は多くいます。
PyiQ
やはり、料理人は、自分が作ったものを、「おいしい」と食べてもらえることに喜びを感じられる人が向いていると思います。