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― しっかり解説 ―

料理研究家とは
料理研究家とは、料理について研究して、その味やレシピなどを人々に伝える専門家のことです。
料理のレシピの開発をして、テレビや本などで情報を伝えます。
レストランなどの飲食店で働く料理人や調理師は「お客さんに料理を提供すること」を目的としていますが、料理研究家は「料理のレシピを考え、広く人々に伝えること」を目的としています。
料理について人々に発信するということが料理研究家の特徴です。
料理研究家は、テレビや雑誌などから仕事を依頼され、番組のスタッフや雑誌の担当者と打ち合わせをして、撮影に向けて料理を準備します。ほかにも飲食店のメニュー開発や調理講師として働くこともあります。
料理研究家の研究分野は、日本料理や中華料理、フレンチやイタリアンといった分野があり、昔から研究されていました。
最近では郷土料理や薬膳料理(※1)、家庭料理など新しい分野での研究もメジャーになっています。
また、時短料理やダイエット料理といった私たちの身近にある実践的な料理研究にも注目が集まっています。
※1.薬膳料理とは、中医学の考え方に基づいた食事のことで、体調不良を改善し、健康的な体作りを促すことを目的とした料理のことです。
料理研究家の仕事
料理研究家の仕事は主に、自分で開発した料理のレシピをメディアで紹介することです。
料理本を出版したり、テレビで紹介する料理を考案したりします。
また、料理番組では自身が出演し、実際に料理の作り方を実演することもあります。
新しいレシピの開発は、食材の準備から調理をして味見をするところまで、すべて行います。
完成するまでに食材の量や調味料の量を細かく調整し、何度も試行錯誤を繰り返すこともあるので、1つのレシピを完成させるためには多くの時間がかかります。
このほかにも料理研究家はいろいろな場面で活躍しています。
・企業や自治体から依頼を受けて商品化したい商品を一緒に作り上げる。
・レストランやカフェ、居酒屋などのメニュー開発のアドバイスを行う。
・自分の料理教室を開く。
・調理の専門学校で先生をする。
・自身の料理経験を活かして、食器の制作企画・販売をする。
・調理器具を開発する。
というような仕事もしています。
料理研究家はフリーランスとして活動していることが多く、決まった勤務時間はなく、依頼された仕事のスケジュールをもとに働きます。料理の撮影がある日は朝から食材の調達などの準備を行い後片付けまでをするため、1つの仕事にかなり時間がかかることもあります。撮影がない日も準備や新しいレシピの開発を行っています。

料理研究家になるには
料理研究家になるために必要な資格はありません。
料理に関する知識や新しいレシピを考える発想力があれば、誰でも料理研究家として活動することができます。
料理研究家は必要な資格がないため、料理について専門的に勉強した人だけではなく飲食店のオーナーや主婦が料理研究家として活躍していることもあります(SNSやブログで人気になった料理研究家もいます)。
一方で、活動するためには料理の知識は必要不可欠です。
食に関する知識や栄養学、レベルの高い調理についての知識を持っていなければなりません。
飲食店のオーナーや主婦は今までに培った長年の経験によって料理研究家として活動しています。
料理に関する資格として、調理師や栄養士の資格があります。
調理師や栄養士の資格を持つことは料理研究家に近づく方法の一つです。
また、フードコーディネーターの資格を取得して、撮影に活かしている料理研究家もいます。
調理師
調理師免許は必要条件を満たすことで取得できる国家資格です。取得の方法は、2つあり、1つは調理師試験に合格し、免許を申請することで取得することができます。2つ目は調理師養成施設を卒業し、免許を申請することで取得することができます。調理師の勉強をすることで調理の技術以外にも、栄養や衛生に関する知識も得ることができます。
栄養士
栄養士は必要条件を満たすことで取得できる国家資格です。食事や栄養についての知識を得ることができます。栄養士養成施設で学び、都道府県知事から免許を受け取ることで栄養士の資格を得ることができます。栄養士の資格を得るためには多くの知識が必要なため、勉強する内容が多く、実習もあります。そのため、必ず昼間の大学、短期大学、専門学校に通う必要があります。夜間の学校や通信教育はありません。
フードコーディネーター
フードコーディネーター資格認定試験に合格することで取得できる資格です。1〜3級まであります。フードコーディネーターになるためには、食に関するメニューや商品の開発、レストランや料理教室などの運営についての知識が必要です。また、食に関する演出についての知識も必要です。テレビ撮影のための料理のスタイリングや、食品の売り方などの見栄えについての知識も必要です。
料理研究家の歴史
料理研究家の歴史は古く、明治時代には料理研究家が誕生したと言われています。
昭和の料理研究家に求められたのは、外国料理など一般の人が食べたことがない当時の日本人に外国の料理を教えることや今晩の献立を考えるヒントを提供することでした。しかし、平成になると外食慣れした忙しい人たちが増え、家で料理する人たちも味の基準が外食レベルになり、いかに短時間で美味しい料理を作れるかに興味を持つようになってきました。
そうした時代背景の中に登場した料理研究家が、小林カツ代さんです。1980年に、「小林カツ代のらくらくクッキング」を出版して一躍脚光を浴びました。短時間で美味しい料理を求める働く女性たちを中心に支持を集めた小林カツ代さんに対し、同年代の主婦たちから熱狂的な支持を集めたのが、栗原はるみさんです。「ごちそうさまが、ききたくて。」を1992年に発売、現在も書店に並ぶロングセラーとなっています。栗原はるみさんはレシピを提供するだけではなく、キッチンや器などトータルで料理を楽しむライフスタイルを提案しました。
近年では、女性料理研究家だけではなく、土井善晴さん、リュウジさん、コウケンテツさんといった男性料理研究家も活躍しています。
ミレイ
料理研究家になったとして、大変なことってどんなことがあるのでしょうか?
PyiQ
やはり、まだ他の誰も作ったことがないような画期的なレシピを生み出すことは決して簡単なことではありません。また、考えても考えてもレシピが思い浮かばない、作っても作っても思い通りの味に仕上がらないなど大変なことは多いです。
PyiQ
食べることや料理を作ることが好きなことはもちろん、創意工夫をこらした新しいメニューを考えるための熱心な姿勢がないとつとまらない仕事です。
また、味はもちろんのこと、料理を美味しそうに見せる美的センスや、自分の料理を売り込むPR能力も必要になります。
PyiQ
ブログやSNSに手軽に投稿できるようになったことで、料理研究家の注目度は高まっています。料理研究家としてデビューすることは決して難しいことではありませんので、競争が激しくなっているのも事実ではないでしょうか。その一方で、訪日外国人向けの料理需要が増しており、料理研究家のレシピの考案力が求められているようです。こうした面での将来性は高いのかもしれません。